« イカ釣り | トップページ | 6日発の出航は・・・ »

2007年7月 3日 (火)

ヒラマサ

豆南諸島では、20kgオーバーのヒラマサが結構釣れる。一般的には20kgを超えるヒラマサなど、滅多にお目にかかれる物ではない。魚影が濃いことは、いうまでもないが、泳がせ釣りで、80号以上の強度のあるハリスを使って、力勝負で上げてくるから取れるのだ。

0772 しかし、ヒラマサ釣りの本当の面白さは、10号程度のハリスで、取れるか、取れないかのやり取りだと思う。

ヒラマサのスピードとパワーは、同じサイズの魚で比べれば桁外れだ。また、根に回る習性があるので、ラインを止めれば切られる、出せば根摺れでまた切られる。走らせないように、ハリスの強度以上にドラグを締めてしまえば、100%ハリスは切れる訳で、ハリス強度すれすれのドラグ設定での勝負となる。このぎりぎりのファイトが、この釣りの醍醐味であり、難しさである。

かなり昔の話だが、先日行った真鶴の国敏丸での出来事だ。

この頃、真鶴ではヒラマサが回遊し、連日釣り客が押し寄せ賑わいをみせていた。当時、7号のハリスで12~13kgのヒラマサを釣るのが、面白くてたまらなかった。

ヒラマサフィーバーも終わり、残っている魚が、たまにポツポツと釣れるという状況になった時のことだ。「明日は雨風も強く、お客も少ないだろうから行くか。」ということで、仲間と2人で出かけた。

港に着いてみると、この海域には珍しく海は時化で、土砂降りの雨が降っていた。お客は我々のほかに、おとなしそうな青年が一人。真剣な面持ちで船長に釣り方を聞いている。

時化の中をドンブラコ、ドンブラコと出て行く。

ポイントについてから、しばらくたって青年の顔が恐ろしいほど真っ青に・・・酔っ払ったらしい。それでもなんとかタナを取り竿をキーパーに置く。すでにコマセを振ることもできない。すると第1投目から、青年の竿が海中にズボッ!船長が「食ったよ!」と怒鳴ると、船べりに頭を付けて寝ていた青年は慌てて、竿を持つがフラフラ状態。竿は折れんばかりに曲り本人も支えきれない様子。見かねた船長が「糸を出せ!」とアドバイスすると、リールのクラッチを切ってしまった。「これでもか」と曲っていた竿が、いきなりギューンと伸びて、スプールから道糸が勢い良く出て行く。「ドン。」と海底に着いた時にはリールはバッククラッシュして収集の付かない有様に。しかし、もはや青年にはこれを解く気力は無い。仕方なく船長が手を貸そうとすると「大丈夫です。」と糸の絡んだまま巻きだした。時折、船べりから顔を出して吐きながら必死に巻き上げてくるが、何やら重そうだ。「海藻でも引っ掛かったのか?」と思って見ていると、残り20mほどでスプールの糸が団子状態になり、巻けなくなってしまった。しかたなく船長が手で道糸を手繰る。やっと天秤があがりハリスを手繰ってくると、何とヒラマサが付いている。

船内に上げられた8kgほどのヒラマサの口の周りは真っ赤に腫れ、ピクリとも動かない。何と、渾身の力で突っ込んでいる時にいきなりフリーにされ、根に激突してしまったようだ。本当にこんな事があるのか?と一同、おかしいやら、不思議やらで唖然。当の本人は魚が船内に取り込まれた瞬間から、釣り座に海老のような格好になりダウン。そして小声で「もう港に戻ってもらえませんか。」と言った。この頃は、我々もバリバリ血気盛んな頃。とにかく魚を釣ることしか考えていなかった。「冗談じゃない。最後までやろう。」と今考えてみれば鬼のような一言。血だらけヒラマサは、ハリも外されず、雨にさらされて船上に放置され、惨めな姿に・・・

そして釣りを続けるが、私たちにアタリが無かったことは、言うまでもない。

港について10分もしない内、青年は活気を取り戻し、トロ箱を注文し、白くなったヒラマサを大事そうに氷詰めして、意気揚々と港を後にした。

これは本当にあった話で、バカな私はこんな釣り方もあるのでは?と2度ほど試したが失敗に終わった。

今でも時々、あの「雨に打たれて白くなった血だらけのヒラマサ」の光景を思い出す。

あの青年は、今でも釣りを続けているのだろうか?

|

« イカ釣り | トップページ | 6日発の出航は・・・ »

釣り」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ヒラマサ:

« イカ釣り | トップページ | 6日発の出航は・・・ »